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エンジニアは採用すべきか、外注すべきか

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「エンジニアを採用したいが、給与が高くて手が出ない」「外注も考えているが、それでいいのか分からない」。最近、こういう相談をよく受けます。

採用か、外注か。多くの記事が、コストやスピードを並べて「どちらが得か」を論じています。でも、何度も現場を見てきて思うのは、本当の分かれ目はそこではない、ということです。

先に言っておくと、この記事は「どちらが得か」には答えません。扱うのは、その手前にある、もっと重要な問いです。

コストだけ見ると、たしかに迷う

まず、よく言われる比較を整理しておきます。

正社員を1人雇うと、年収だけでなく、採用にかかる費用、社会保険料の会社負担、教育の時間、そして「辞めるかもしれない」というリスクまで乗ります。一方で外注は、単価そのものは高く見えても、固定費にはならず、必要な期間だけ確保できる。

どちらが安いかは、状況によります。ここまでは、世の中の記事と同じ話です。

ただ、コストの比較で結論を出すと、たいてい見落とすものがあります。

どちらを選んでも、同じ壊れ方をする

採用しても、外注しても、保守できる設計をしていなければ、システムは同じように壊れます。これを、私は何度も見てきました。

採用したエンジニアは、いつか辞めます。外注した相手とも、いつか契約は終わります。人は、いなくなる。 問題は、その人がいなくなったときに、システムが引き継げる状態になっているかどうかです。

でも、壊れるのは人がいなくなったときだけではありません。同じ人が担当し続けていても、システムは壊れます。 半年前に自分が書いたコードは、もう半分は他人のものです。何が起きているかを知る手段が無ければ、書いた本人ですら、障害の原因を追えない。そして、レビューも履歴も無ければ、どんなに慣れた人でも、ふとした操作ミスがそのまま本番に届きます。

ある現場の話

前任者が、引き継ぎもなく抜けた現場に、後から入ったことがあります。

ドキュメントはありませんでした。そして入って早々、決済まわりのリクエストが落ちていることが分かった。お金が動くところが、動いていない。しかも、それを知らせる通知は、どこにも飛んでいませんでした。気づけたのは、たまたまです。原因を探そうにも、手がかりがない。結局、その夜は徹夜で、コードを上から追いかけて原因を突き止めました。

後から思えば、これは「前任者がいなかったから」起きた夜ではありません。たとえ前任者がその場にいても、同じ夜になっていたかもしれません。

きつい夜でした。でも、きつかった本当の理由は、ドキュメントが無かったことではありません。本当の問題は、何が起きているのかを知る手段が、設計の中に無かったことでした。異常が起きても、それを知らせる監視も通知もない。エラーが起きても、どこで何が落ちたのかがログに残らない。だから、異常に気づくのも遅れ、人が徹夜でコードを追うしかなかった。属人的であること自体が悪いのではなく、属人性が、そのまま事故に直結する設計になっていたことが問題だったんです。

引き継ぎとは、紙のドキュメントを残すことではありません。その人がいなくても、何が起きているかが分かり、安全に直せて、変えていける——そういう仕組みが設計に組み込まれているか、ということです。

だから、採用でも外注でも、問うべきは一つ

安いか、速いか。その比較の前に、問うべきことがあります。

「作った人がいても・いなくても、このシステムは安全に保守でき、事業の変化に合わせて変えていける設計になっているか」

採用するなら、その人に依存しきらず、後から手を入れやすい作り方をしてもらえるか。外注するなら、納品後に他の人が保守でき、事業が変わっても変更を重ねていける状態で渡してもらえるか。ここを確認しないまま「安いから」「早いから」で選ぶと、数年後に、直すのも変えるのも怖い、誰も中身の分からないシステムだけが残ります。

継続性は、気合いではなく仕組みで

では、引き継げる設計とは何か。

変更がレビューを通ること。何を変えたかが履歴に残ること。誰が作業しても同じようにデプロイできること。そして、何かが起きたときに、原因がログから追えること。こうした仕組みがあれば、担当者が変わったときのリスクを、大きく減らせます。

このうち「変更にレビューを挟む」仕組みについては、技術寄りの話を別の記事で書きました(インフラの変更を、コードのレビューと同じにする)。気合いや個人の注意力ではなく、仕組みで安全を担保する、という考え方です。

保守できる設計が、ビジネスを加速させる

ここまで「壊れる」話ばかりしてきましたが、保守できる設計が効くのは、守りの場面だけではありません。

ビジネスは変わり続けます。料金体系を見直す、新しい業務フローに対応する、法改正に合わせる、別のサービスと連携する——システムは一度作って終わりではなく、事業の変化に合わせて手を入れ続けるものです。

このとき、保守できない設計は重い足かせになります。少し直すだけでも、どこに影響するか分からないから怖い。変更のたびに調査からやり直しで、時間もお金もかかる。結果、「本当はこう変えたい」という事業側の要望に、システムが追いつけなくなる。

逆に、保守できる設計なら、変更を小さく・安全に積み重ねられます。事業が動くスピードに、システムが置いていかれない。保守できる設計とは、止まらないための守りであると同時に、変化に乗ってシステムを育て続けるための土台でもあるんです。

採用か外注か、は大事な問いです。でも、その手前にもっと大事な問いがある。あなたの会社のシステムは、明日、担当者がいなくなっても動かせますか。そして、事業が変わったとき、一緒に変われますか。

もし「正直、わからない」と思ったら、それは一度立ち止まる合図かもしれません。まずは、いまの状態を客観的に把握するところから始めるのがおすすめです。


まず、現状を測るところから。

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