本文へスキップ
キャスターアプリケーションズ
著者: 清家 那生

広告の CVR 改善は原因の特定から。AI で全データを横断し、CVR 1% を 6.9% にした実例

「なぜこの広告だけ登録が少ない?」という問いを受けた AI が、広告・アクセス解析・登録データ・行動記録の 4 つを突き合わせ、原因をページの訴求と特定し、CVR が 1% から 6.9% に上がった様子を人が確かめる図

同じ予算で 2 つの広告を出したのに、片方だけ登録がほとんど入らない。広告の管理画面を開くと、クリックはされている、でも成果が無い。ここで多くの場合、広告文を変える、入札を変える、ページにボタンを足す、と施策を足していきます。

けれど、CVR (広告をクリックした人のうち、登録や問い合わせまで進んだ人の割合) を上げる施策が効くかどうかは、原因がどこにあるかで決まります。原因が広告の管理画面の外にあると、管理画面の中をいくら直しても効きません。私たちが立ち上げから関わっている人材紹介会社で、まさにこの状態の広告がありました。CVR は 1% で、同じ時期の別の広告の 8 分の 1 です。

この広告は、施策を足す前に原因を特定したことで、CVR 6.9% まで上がりました。広告の CVR 改善は、施策を足す前に「どこで、なぜ離れたか」を特定するところから始まります。 決め手は、広告に関わるデータをすべて AI で横断して分析できる状態にしてあったことです。この記事では、その実例と、途中で AI の分析が 2 回外れたときにどう確かめたかを書きます。

広告の管理画面で分かるのは「クリックされたか」まで

広告の管理画面は、広告が表示され、クリックされ、成果として記録されたところまでを見ています。クリックした人がページで何を読み、なぜ帰ったのかは、管理画面の外にあるデータを見ないと分かりません。

しかも、管理画面の「成果の数」そのものが欠けます。スマートフォンのプライバシー設定などで計測が届かない人がいるためです (詳しくは記事「LINE 登録を広告の成果として測る方法」)。この会社では、登録の実数は自社のデータベースで数えています。

CVR が低い原因は、3 か所のどれかにある

CVR が低い原因は、来る人・ページ・登録の手前の 3 か所のどれかにあります。どこにあるかで、見るデータも直す場所も変わります。

原因の場所起きていること確かめるデータ
来る人広告が、探しているものが違う人に出ている広告の管理データ (どんな検索で出たか)
ページ来た人は合っているのに、ページを読んで帰っているアクセス解析 (GA4) の滞在時間と読んだ範囲
登録の手前登録しようとして、ボタンやフォームで止まっているページ上の行動記録、自社の登録データ

広告文や入札を直して効くのは、原因が「来る人」にあるときだけです。今回の広告の原因は、主に「ページ」にありました。そして「来る人」にも、別の問題が混ざっていました。

広告に関わる全データを、AI が横断できる状態にした

この会社では、広告の管理データ、アクセス解析、自社の登録データ、ページ上の行動記録の 4 つを、AI が直接照会して分析できるようにしています。当社が使っているのは Claude Code という AI です。分析用の画面や集計表を作り込むのではなく、問いが出たときに、AI がその場でデータを引いて答えます。流れは冒頭の図のとおりで、AI が出した答えは、人が確かめてから対策を決めます。

分析画面を作る方式だと、画面に用意した切り口でしか見られません。新しい疑問が出るたびに、集計を作り直すことになります。AI が直接照会する方式なら、問いが変わっても、その場で必要な数字を組み合わせて引けます。上の 3 か所のどこに原因があるかを、1 つの問いで横断して確かめられます。

この状態を作るのは、広告の運用ではなく技術の仕事です。登録を自社のデータベースに記録し、どの広告から来た人かの印を残し、4 つのデータを読める権限を整える。この土台があるから、分析が速く回ります。

CVR 1% の広告は、読んだうえで離れられていた

原因は、ページの訴求が別の職種向けのままだったことです。横断して分析すると、来た人は本気で仕事を探していて、ページもよく読んでいたのに、自分向けではないと判断して帰っていたことが分かりました。

当時の 2 つの広告の数字です。どちらも 2026 年 7 月 12 日〜20 日の実績で、職種 A 向けが不振だった広告、職種 B 向けが比べた広告です。

職種 A 向けの広告職種 B 向けの広告
広告費49,529 円45,565 円
クリック200 (うち無関係な検索から 97)103
実際の登録1 件9 件
CVR1.0% (無関係なクリックを除く)8.7%
登録 1 件あたりの広告費49,529 円5,063 円

突き合わせて分かったことは 3 つです。

  1. 来た人は、本気で職種 A の仕事を探していた。 無関係なクリックを除くと、検索の上位は「地域名と職種 A と求人」の組み合わせでした。広告が的外れな人に出ていたわけではありません。
  2. ページはよく読まれていた。 平均の滞在は、職種 A の広告から来た人が 69.7 秒、職種 B が 49.9 秒です。iPhone では平均 103 秒読んでから帰っていました。すぐ帰ったのではなく、読んだうえで帰っています。
  3. ページに、職種 A を選ぶ人が知りたいことが書かれていなかった。 着地先は職種 B 向けに作ったページで、「すぐ働ける」「すぐ稼げる」が前面にありました。職種 A を選ぶ人が気にする、職場の雰囲気、ノルマの有無、週 1 日から働けるか、はどこにもありません。広告文も同じ調子でした。

管理画面の数字だけなら「効かない広告」で終わります。滞在時間と登録の実数を重ねて、初めて「ページの訴求が合っていない」と言えました。

AI の分析は 2 回外れた。元のデータで確かめてから動く

この分析の途中で、AI の説明は 2 回外れています。外れたのは、無関係な 97 クリックがどこから来たか、つまり「来る人」の側の説明です。2 回とも、気付いたのは AI ではなく当社の担当者でした。

  1. 1 回目は「キーワードの登録が雑多だから」。 広告の設定に無関係そうな語が大量に並んでいたためです。担当者が説明に違和感を持ち、設定を 1 件ずつ引き直させると、それは過去に入れた除外の履歴でした。82 本すべてが「この検索には出さない」設定で、広告は 1 回も出ていません。
  2. 2 回目は「検索語の解釈の広げすぎ」。 登録した語に近い検索にまで広告が出ている、という説明です。これも担当者が疑い、検索語をどの設定から出たかで数え直させると、その経路からの無関係なクリックはゼロでした。
  3. 本当の出どころは、2 つの設定の組み合わせでした。 登録した語と意味が近いと Google が判断した検索にも出す「部分一致」と、Google 以外の提携サイトの検索にも出す「検索パートナー」です。無関係な 97 クリックは全部が部分一致からで、うち 81 クリックは検索パートナーからで、7 月 14 日に集中していました。

AI は数字の並びから、もっともらしい説明を作ります。設定の意味を 1 つ取り違えると、結論ごと外れます。誤りに気付けたのは、広告の設定がどう動くかを知っている人が、説明を読んで「それはおかしい」と思えたからです。だから私たちは、AI が結論を出したら、その根拠になった元の行 (設定や検索語の 1 件 1 件) を引き直してから対策に移ります。AI で速くしているのは数字を集めて突き合わせる作業で、判断は人が持ちます。

原因の特定から対策まで、同じチームで回した

原因が分かってから、分析した側がそのまま対策まで実行しました。原因の特定から最初の専用ページの公開までは数日です。

  • 職種 A 専用のページを作った。 職種 A を選ぶ人が比べたい「収入・職場の雰囲気・働き方」を軸にした構成です。その後、依頼主の担当者と訴求を詰め直して、8 月 4 日に作り直しています。
  • 広告文を書き換えた。 ページと同じ調子にそろえました。
  • 広告の配信設定を絞った。 部分一致をやめ、検索パートナーを切りました。
  • ページのどこで読者が離れるかを測った。 ページを区切りごとに計測し、作り直した後も、どこで冷めているかを追えるようにしました。

作り直した後の数字です。

立て直す前作り直した後
期間7 月 12 日〜20 日8 月 4 日〜9 月 8 日
クリック200475
実際の登録1 件33 件
CVR1.0%6.9%
登録 1 件あたりの広告費49,529 円6,501 円

広告の運用だけを任されている立場では、ページの作り直しや自社データベースの照会は担当の外になりがちです。分析・ページの開発・広告の設定が別々の会社に分かれていると、そのたびに受け渡しが入ります。この会社では、データの土台を作った当社が分析から修正までを続けて担当しているので、原因が分かってすぐに手を動かせました。

効かない施策をやめる判断も速くなる

データを横断して見られると、続けるかどうかの判断もはっきりします。ページから離れようとした人を引き止めるポップアップは、90 回 (82 人) 表示して、そこからの登録が 0 件でした。数字で効いていないと分かったので、すべてのページから外しました。

CVR を上げる施策は、足すより、やめる方が難しいものです。「なんとなく効いていそう」で残した施策は、ページを重くし、次の改善の邪魔になります。

AI で広告の原因を探す前に、自社にそろえるもの

AI で横断して分析するには、AI より先にデータの土台が要ります。次の 4 つがそろっているかを確かめてください。

  • 登録や問い合わせの記録が、自社の手元にある。 外部のツールの中にしか無いと、AI が照会できません。ツールからデータを持ち出せるかは、記事「Lステップを解約する前に確認すること」で確かめ方を書いています。登録の記録を自社に持つところから始める進め方は、LINE の集客と顧客管理の仕組みにまとめています。
  • その記録に、どの広告から来た人かの印が残っている。 広告のクリックごとに付く番号や、広告の識別子です。これが無いと、広告と登録をつなげられません。
  • 広告・アクセス解析・自社の記録を、プログラムから読める権限がある。 管理画面に人がログインして見る権限とは別に用意します。
  • ページのどこで読者が離れたかを測っている。 滞在時間だけでなく、どこまで読んだかが分かると、直す場所を絞れます。

仕組みの全体像と、既製のツールから自社の基盤へ移した経緯は、開発事例に書いています。自社の広告がどこまで登録に結び付いて測れているかは、無料の集客効率AI診断の「計測」の項目で、3 分ほどで確かめられます。


当社では、登録の計測やデータの土台づくりから、ページと広告の改善、AI による分析までを、1 つのチームでお手伝いしています。「広告の成果が伸びない理由が分からない」という段階からでもご相談ください。お問い合わせフォーム、または LINE 公式アカウントからお気軽にどうぞ。

この記事のテーマ、貴社ではどこまで整っていますか?

集客効率AI診断

広告・LINE・紹介など、問い合わせがどこで消えているかを 3 領域で数値化します。

診断を試す

※約3分・無料