LINE 登録を広告の成果として測る方法。クリックではなく「登録した人」を広告に学ばせる

広告の管理画面を開くと、今月の成果は 120 件。ところが LINE 公式アカウントの友だち追加を数えると 70 人しかいない。広告と LINE で集客している会社では、よくある状態です。
差の 50 件分の広告費は、どこへ行ったのでしょうか。
この記事では、なぜこのずれが起きるのか、ずれたまま放っておくと何が起きるのか、そして LINE 登録を広告の成果として正しく測るにはどうすればよいかを、私たちが開発を担当した人材紹介会社の実例とあわせて説明します。読み終えるころには、「広告の効きが悪い」と思っていた問題の多くが、実は「広告に渡している答えが間違っている」問題だと分かるはずです。
広告が「見えている」のは、ボタンが押されるまで
まず、ずれの正体から。
Google 広告や Meta 広告は、自分が送り込んだ先のページで起きたことしか追えません。広告をクリックした人が案内ページ (LP) に着き、そこで何かをする。ここまでが広告の守備範囲です。
LINE の友だち追加は、このページの外で起きます。「友だち追加」ボタンを押すと LINE アプリに切り替わり、そこで「追加」を押してはじめて登録が成立します。広告からは、この LINE アプリの中が見えません。
flowchart LR
ad["広告"] --> lp["案内ページ<br/>(LP)"]
lp --> btn["友だち追加<br/>ボタンを押す"]
btn --> app["LINE アプリに<br/>切り替わる"]
app --> done(["登録が成立"])
subgraph visible ["広告が見えている範囲"]
lp
btn
end
style done fill:#E8F0F7,stroke:#3B6FA0
だから広告が「成果」として数えているのは、ほとんどの場合「友だち追加ボタンが押された」ところまでです。押したけれど LINE アプリで追加しなかった人、追加した直後にブロックした人も、広告の中では成果のまま残ります。
さらに、スマートフォンのプライバシー設定の影響もあります。最近の端末やブラウザでは、広告から来たことを示す印 (クッキーなど) が短期間で消えたり、そもそも付かなかったりします。この場合は逆に、本当に登録した人が広告からは「成果ゼロ」に見えます。
つまり、ずれは二方向に起きています。登録していない人を数えてしまう方向と、登録した人を取りこぼす方向。管理画面の数字と実際の登録数が合わないのは、運用の腕の問題ではなく、仕組みの構造の問題です。
ずれたまま広告を回すと、広告が間違った相手を学ぶ
数字が合わないだけなら、まだ我慢できるかもしれません。本当の問題は、その先にあります。
いまの広告は、「成果」と記録された人に似た人へ配信を寄せていく仕組みで動いています。Google 広告なら「コンバージョンの最大化」、Meta 広告なら「コンバージョン最適化」と呼ばれる機能です。広告に成果の記録を渡すと、広告はそれを教科書にして、似た人を探しにいきます。
ここで、渡している「成果」が「ボタンを押した人」だったらどうなるでしょうか。
広告は「ボタンを押しやすい人」を一生懸命に学びます。登録する人ではありません。押すだけで離脱する人、興味本位でタップする人、そういう人に似た層へ配信が寄っていきます。登録単価はじわじわ上がり、「最近、広告の効きが悪い」という感覚だけが残ります。
どの広告に予算を寄せるべきかも、勘で決めるしかなくなります。A の広告は成果 60 件、B は 40 件。でも実際の登録は A が 20 人で B が 35 人かもしれない。管理画面の数字で判断すると、効いている方の予算を削ることになります。
広告が悪いのではなく、広告に渡している答えが間違っている。これがこの記事でいちばん伝えたいことです。
登録を正しく測る 3 つの方法
では、どうすれば「登録した人」を広告に渡せるのか。方法は大きく 3 つあります。それぞれに向き不向きがあるので、中立に並べます。
| 方法 | 仕組み | 向いている会社 |
|---|---|---|
| ① LINE 配信ツールの計測機能 | Lステップやエルメなどの配信ツールが、広告経由の友だち追加を検知して広告側に返す | すでに配信ツールを使っていて、まず手早く始めたい |
| ② 計測専用のツール | 広告経由の友だち追加を媒体ごとに数え、各広告へ連携する専用サービスを挟む | 広告媒体が複数あり、配信ツールは変えたくない |
| ③ 自社で記録して広告に返す | 登録を自社のデータベースに記録し、広告が用意している受け口 (オフラインコンバージョン、コンバージョン API) で送り返す | 登録の先の相談・成約まで追いたい。データを自社に残したい |
比べる軸は 4 つです。
- 費用: ①は配信ツールの料金の範囲内か、上位プランの追加費用。②はサービスの月額。③は開発の初期費用が主で、月々の費用は小さい
- データの持ち主: ①②はツールの中にデータが貯まる。③は自社のデータベースに残る
- どこまで追えるか: ①②は原則「登録」まで。③は登録の先の「相談」「成約」まで、同じ仕組みで追える
- 始めやすさ: ①が最も早い。②も設定中心。③は作る手間がかかる
①と②は始めやすく、登録数のずれを直すだけなら十分です。一方で、測れるのは登録までで、データはツールの中にあります。「この広告から来た人は、登録はするが相談に進まない」という、もう一段深い判断には届きません。
③は手間がかかりますが、登録から成約まで一本の線でつながります。広告に渡す「成果」を、登録ではなく成約にすることもできます。私たちが人材紹介会社で作ったのは、この③です。Lステップを使いながら登録を自社で受け取る方法 (LINE ログインと LIFF) と、LINE の通知先を自社に切り替える手順は、記事「Lステップの API 連携・Webhook 転送で足りるか、自前の Webhook に切り替えるか」に書いています。
自社で記録して広告に返す仕組みの中身
③の仕組みを、技術用語を使わずに説明します。全体は一周する輪になっています。
flowchart LR
adclick["1. 広告をクリック<br/>見えない整理番号が付く"] --> lp["2. 案内ページ"]
lp --> signup["3. LINE 登録が成立<br/>整理番号と登録をひも付けて<br/>自社に記録"]
signup --> db[("自社の<br/>データベース")]
db --> send["4. 定期的に広告へ<br/>送り返す"]
send --> learn["5. 広告が<br/>「登録した人」を学ぶ"]
learn -->|似た人に配信| adclick
style db fill:#E8F0F7,stroke:#3B6FA0
- 広告をクリックした人に、見えない整理番号を付けて案内ページまで連れてくる。 Google 広告なら、クリックしたときに URL に付く番号 (GCLID と呼ばれます) がこれにあたります。
- 友だち追加が成立した瞬間に、その整理番号と LINE の登録をひも付けて、自社のデータベースに記録する。 「ボタンが押された」ではなく「登録が成立した」を記録するのが肝心です。
- スマートフォンの設定で取りこぼした分は、サーバー側で補う。 ブラウザの中だけで記録しようとすると消えてしまう印を、自社のサーバーで受け取って保管します。
- 記録した登録を、定期的に広告へ送り返す。 Google 広告にはオフラインコンバージョンという受け口があり、「この整理番号の人が、この日時に登録しました」と後から伝えられます。
- 広告が「実際に登録した人」を学び、似た人へ配信を寄せる。 ここで輪が閉じます。
この仕組みの本当の価値は、2 の「登録」を「相談」や「成約」に置き換えられることです。記録しているのは自社のデータベースなので、相談に進んだ人、成約した人にも同じ整理番号が残っています。それを広告に返せば、広告は「成約した人」を学びます。配信ツールの中にデータが閉じていると、ここまでは届きません。
実例: 人材紹介会社で起きたこと
私たちが立ち上げから関わっている人材紹介会社では、集客はウェブ広告が中心で、「広告を見た人が LINE に登録し、相談を経て成約する」流れが事業の要です。この会社で、上の仕組みを作りました。
登録を 6 時間おきに Google 広告へ返すようにした。 それまで広告が学んでいたのは「クリックされた」でしたが、これで「実際に登録した人」を学ぶようになりました。広告費が、登録につながりやすい人に向かって使われるようになります。
登録率が 8 分の 1 だった広告を、数日で立て直した。 ある職種向けの広告キャンペーンで、登録率が別の職種向けの 8 分の 1 にとどまりました。管理画面の数字だけでは「効かない広告」で終わりです。しかし広告の管理データ、アクセス解析、自社データベース、ページ上の行動記録を横断して見ると、流入してきた人は本物の求職意図を持っていて、ページの滞在時間はむしろ長い。つまり「読んだうえで、自分向けではないと判断して離脱している」と分かりました。原因は、ページの訴求が別の職種の文化のままだったことです。専用ページを新設し、広告文を書き換え、無駄なクリックを生んでいた検索語を除外キーワードとして 18 語追加しました。原因の特定から対策まで、数日です。
90 回表示して登録 0 件のポップアップを撤去した。 ページから離れようとした人を引き止めるポップアップは、90 回表示されて登録が 0 件でした。効いていないと数字で分かるので、迷わず外せます。測れているから、効かないものを捨てられる。これも計測の効果です。
仕組みの全体像や、既製のツールから自社基盤へ移した経緯は、開発事例に詳しく書いています。
最初の一手は小さくてよい
ここまで読んで「うちには大げさだ」と感じた方もいると思います。全部を一度に作る必要はありません。順番があります。
- 「どの広告から何人登録したか」を自社に記録する。 これだけでも、広告ごとの本当の登録数が見えます。管理画面の数字で予算を決める状態から抜けられます。
- 記録した登録を広告へ返す。 広告が正しい相手を学び始めます。
- 相談・成約まで、同じ仕組みで追う。 広告に渡す「成果」を一段深くします。
1 の段階は、既製のツールで始めても構いません。ただし一つだけ、後からデータを持ち出せる形を選んでください。登録の記録が自社の手元に残っていれば、2 にも 3 にも進めます。ツールの中に閉じていると、乗り換えるときに記録ごと手放すことになります。どこまで自社で持つかの段階と、それぞれで当社がお手伝いできることは、LINE の集客と顧客管理の仕組みにまとめています。
おわりに
広告のクリックは見えているのに、その先が見えない。これは仕組みの穴であって、広告運用の腕の問題ではありません。穴を塞いで「登録した人」を広告に渡せば、同じ広告費でも、広告は正しい相手を探しにいきます。
自社の広告がどこまで登録や成約に結び付いているかは、無料の集客効率AI診断の「計測」の項目で、3 分ほどで確かめられます。
当社では、広告の成果を実際の登録・成約データで測る計測基盤から、LINE 起点の導線、顧客管理、追客の自動化までを一体で構築しています。小さく始めて、数字を見ながら育てる進め方でご支援します。お問い合わせフォーム、または LINE 公式アカウントからお気軽にどうぞ。