Lステップを解約する前に確認すること。消えるデータと、止めずに移行する手順

Lステップの契約更新が近づいてきた。費用は月に数万円。使いこなせていない機能も多い。やめたい気持ちはあるが、やめたら何が消えるのか分からない。友だちは残るのか、アンケートの回答はどうなるのか、あとで戻りたくなったら戻れるのか。
この記事は、その「分からない」を埋めるためのものです。Lステップの利用規約と LINE の公式な仕様で確認できる事実を先に押さえ、そのうえで、私たちが実際に Lステップから自社の仕組みへ移した手順を書きます。題材は、当社が立ち上げから開発を担当している人材紹介会社です。応募者が広告から LINE 公式アカウントに登録し、相談を経て提携先の企業を紹介される事業で、集客と応募者対応の土台を最初は Lステップで作り、事業の成長に合わせて自社の仕組みへ移しました (全体像は開発事例にあります)。以下で「人材紹介会社」と書くのは、この会社のことです。
先に結論を言うと、Lステップで始めたこと自体は正しい判断です。問題は「やめ方」で、やめる前の棚卸しと並走の期間があれば、応募者に何も気づかせずに乗り換えられます。
解約や移行を考える理由は、だいたい 3 つ
私たちが相談を受けるとき、理由はほぼ次の 3 つに集まります。
- 費用に対して、使っている機能が少ない。 配信とアンケートしか使っていないのに、上位プランの料金を払っている。
- やりたいことが、機能の範囲で止まる。 「診断の結果に応じて声かけの文面を変えたい」「入力の途中で止まった人にだけ別の案内を送りたい」といった細かい打ち手が組めない。
- データが自社の手元に残らない。 応募者の情報も、どの広告から来たかの記録も、ツールの中にある。乗り換えたくなっても、蓄積したものを持ち出せる保証がない。
3 つ目が一番重く、しかも気づくのが遅れます。使っている間は困らないからです。困るのは、やめようとしたときです。
最初に Lステップを選んだのは、正しかった
ここは強調しておきたいところです。この人材紹介会社の立ち上げのとき、LINE の配信とアンケートに Lステップを使うことを提案したのは私たちでした。
理由は単純で、まだ業務の型が固まっていない段階で自前の仕組みを作ると、作ったそばから作り直しになるからです。既製品なら数日で動き始め、「どんな質問をすれば相談につながるか」「運営は日々どの情報を見たいか」を、実際の応募者を相手に確かめられます。
事業が伸び、やりたいことが既製品の想定を超えた。だから乗り換えた。Lステップが悪いのではなく、事業の段階が変わったということです。乗り換えを考えている方も、まず「段階が変わったのか、まだ使いこなせていないだけか」を切り分けると、判断がはっきりします。
解約すると消えるもの、残るもの
ここからが本題です。先に断っておくと、これは怖がらせるための話ではありません。何が消えて何が残るかが分かっていれば、移す順番が決まります。順番さえ決まれば、止めずに移せます。私たちが確認できた範囲を、根拠の強さで分けて書きます。
利用規約と LINE の仕様で確認できること
| 事実 | 根拠 | 意味すること |
|---|---|---|
| 一度 Lステップと連携した LINE 公式アカウントは、再度連携できない | Lステップ利用規約 第 1.5 条 | 解約したら、同じ公式アカウントでは戻れない。再開するなら新しい公式アカウントになり、友だちはゼロから |
| 解約後、Lステップが保有するデータは削除されうる。保存期間の定めはない | 利用規約 第 15.3 条 | 「あとで取りに行く」は通用しない。持ち出すなら契約中に |
| 最低利用期間は 3 か月。解約は利用期間の満了日の前日まで。過ぎると 1 か月自動延長 | 利用規約 第 3 条 | 乗り換えの日程は、締め日から逆算して決める |
| LINE の Webhook (メッセージの通知先) はチャネルに 1 つだけ | LINE 公式ドキュメント | 通知先を自社の仕組みに切り替えた瞬間、Lステップは応募者の行動を受け取れなくなる。「半分ずつ」はできない |
| 過去のトークの内容を、あとから取得する API はない。画像などは一定期間で消える | LINE 公式ドキュメント | 切替前のトーク履歴は、自社の仕組みには引き継げない |
Lステップの API 連携や Webhook 転送で足りる場合と、通知先を自社に切り替える場合の境目、切り替えの技術的な手順は、技術者向けの記事「Lステップの API 連携・Webhook 転送で足りるか、自前の Webhook に切り替えるか」にまとめています。
解説記事では言われているが、公式の一次情報では確認できなかったこと
- 解約で消えるデータの範囲は、タグ、友だち情報、配信シナリオ、フォームの回答、流入経路の分析、クリック測定などとされています。
- 友だち情報やフォームの回答は、契約中に CSV で書き出せるとされています。
この 2 つは、契約中に管理画面で「何が CSV で出せるか」を自分で確かめてください。出せないものは、乗り換え後は無いものとして計画を立てます。
LINE 公式アカウント側に残るもの
友だちそのもの (公式アカウントの友だち登録) は Lステップとは別に LINE 側にあるので、解約しても残ります。ただし、Lステップで付けたタグや属性は一緒には残りません。「誰が友だちか」は残り、「その人が何者か」は消える、と考えると分かりやすいです。
解約前のチェックリスト。Lステップに「何を任せているか」を全部書き出す
人材紹介会社で切替を決めたとき、最初にやったのは、Lステップが担っている機能をすべて一覧にすることでした。切替は後戻りできない一手なので、「切り替えてから気づく」を無くすためです。
実際に出てきた依存先は、次の 5 つです。
| 任せていたこと | 切り替えると起きること | 移行先の決め方 |
|---|---|---|
| 自動応答 (あいさつ、キーワードへの返信) | 応答先が消え、応募者の質問に何も返らなくなる | 自社の仕組みで作り直すか、公式アカウントの標準機能で代替するか |
| タグ付け・属性管理 | 「この人はどの段階か」の情報が消える | 契約中に書き出し、自社のデータベースに取り込む |
| 配信シナリオ (登録後の自動フォロー) | 追いかけのメッセージが止まる | 文面と送るタイミングを書き出し、自社の仕組みで再現する |
| アンケートフォーム | リンク先が消える。過去の回答も消える | 自社のフォームに置き換え、回答を LINE の ID にひも付けて自社に保存する |
| リッチメニュー (トーク画面下のメニュー) | Lステップで設定していた切り替えが効かなくなる | 公式アカウントの管理画面か、自社の仕組みで設定し直す |
この表を埋めると、「移行先が決まっていない行」が残ります。それが決まるまで、切替はしません。
止めずに移行する手順。並走して、最後に 1 日で切り替える
私たちが取った手順は、一度に入れ替えるのではなく、Lステップを動かしたまま自前の機能を積み上げ、受け皿がそろった時点で切り替えるというものでした。
flowchart LR
m1["1 か月目<br/>案内ページと<br/>登録の計測を自前に"] --> m2["2 か月目<br/>運営の管理画面を公開<br/>データを自社で受け取る"]
m2 --> m3["3 か月目<br/>依存機能を一覧にし<br/>移行先を決めて切替<br/>(作業は 1 日)"]
m3 --> m4["4 か月目以降<br/>自動フォローと<br/>提携先向け画面を追加"]
subgraph parallel ["Lステップは 3 か月目まで並走"]
m1
m2
m3
end
- 先に「記録」だけ自前にする。 案内ページと、どの広告から誰が登録したかの計測を自社の仕組みに移しました。配信とアンケートは Lステップのままです。この時点で、新しく来た応募者の流入元が自社に残り始めます。
- 運営の管理画面を出す。 応募者の一覧と対応状況を自社の画面で見られるようにしました。データを自社で受け取る体制ができます。
- 依存機能の一覧を作り、移行先を決めてから切り替える。 上の表がここで効きます。切替作業そのものは 1 日でした。LINE の通知先を自社の仕組みに向け直し、Lステップのフォームを自前のものに差し替え、アンケートと診断も自前のものに置き換えました。
- 切替後に、自動フォローと提携先向けの画面を足す。 切替は「同じことができる状態」で行い、新しい機能は切替後に積みます。切替と新機能を同時にやると、不具合の原因が切り分けられなくなるからです。
応募者から見ると、LINE の友だち追加もアンケートも、以前と同じように使えているだけです。裏側の入れ替わりは見えていません。
ひとつ補足すると、Lステップ時代に登録した応募者については、どの広告から来たかの記録がありません。切替前の期間は、ツールの中にしかなかったからです。これは取り戻せませんでした。「記録を自前にする」を最初にやったのは、この穴をそれ以上広げないためです。
作り直したら、前より良くなったこと
作り直しは手間ですが、Lステップの制約に合わせていた部分を、自分たちの業務に合わせて組み直す機会でもありました。冒頭に挙げた不満のうち、「やりたいことが機能の範囲で止まる」と「データが自社に残らない」の 2 つは、ここで解消しています。
やりたかった打ち手が、そのまま組めるようになった。 既製品では「診断の結果に応じて声かけの文面を変える」「入力の途中で止まった人にだけ別の案内を送る」といった条件の細かい打ち手が組めませんでした。自社の仕組みでは、診断の直後の声かけ、アンケート未回答者への翌日以降の追いかけ、入力途中で止まった人へのフォローを、それぞれ別の条件とタイミングで自動化しています。さらに、どの声かけが相談につながったかを記録しているので、効いていない文面は差し替えられます。既製品の機能の範囲で止まっていた改善が、自分たちの手で回せるようになりました。
アンケートの回答が、広告の成果とつながった。データは自社の手元に残る。 自前のフォームは、回答を LINE の ID にひも付けて自社のデータベースに保存します。登録時の流入元も同じデータベースにあるので、「どの広告から来た人が、どんな希望を書き、相談に進んだか」が一つの線でつながりました。応募者の情報が自社の手元にあるので、次にツールを変えることになっても、蓄積したものは残ります。この先の話は、前の記事「LINE 登録を広告の成果として測る方法」に書いています。
移行の全体像と、その後に作った仕組みは開発事例にまとめています。
移行先の選び方。判断の軸は「データをあとから持ち出せるか」
乗り換え先は、大きく 3 つです。
| 乗り換え先 | 向いている会社 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 別の配信ツール (エルメ、UTAGE など) | 使っている機能が配信とフォーム中心で、費用か機能の不満が主な理由 | 同じ「ツールの中にデータがある」構造は変わらない。書き出せる範囲を契約前に確認する |
| 自社の仕組み | 応募者の情報を広告・業務とつなげたい。データを自社に残したい | 作る手間と期間がかかる。並走の計画が要る |
| 併用 (配信はツール、記録と管理は自社) | 全部を作り直す余裕はないが、データだけは手元に置きたい | 通知先は 1 つなので、どちらが受け取るかを先に決める |
どれを選ぶにしても、判断の軸は一つです。そのデータは、あとから持ち出せるか。 乗り換えで一番痛いのは費用でも手間でもなく、「蓄積したものがツールと一緒に消える」ことです。最初に Lステップを選ぶのは正しい。ただ、次に選ぶときは、やめるときのことまで含めて選んでください。
別のツール、自社の仕組み、併用のどれが合うかは、LINE の集客と顧客管理の仕組みで段階ごとにまとめています。
おわりに
Lステップをやめるかどうかより先に、確かめてほしいことがあります。いまの集客の仕組みで、応募者の情報とその流入元は、どこに、どんな形で残っているか。それが自社の手元にあれば、どのツールを使っていても、いつでも乗り換えられます。
自社のデータがどこまで手元にあるかは、無料の集客効率AI診断の「データの保有と活用」の項目で、3 分ほどで確かめられます。
当社では、既製のツールで始めた集客の仕組みを、事業の成長に合わせて自社の基盤へ移す開発を、計測から顧客管理・追客の自動化まで一体でご支援しています。止めずに乗り換える計画づくりから相談できます。お問い合わせフォーム、または LINE 公式アカウントからお気軽にどうぞ。